れですも色々

本棚左側2段目後ろ側・・の半分の残り

前半(前の半分ね^_^;で書いた通り、ここは子母澤 寛コーナー。

この作家は戦前任侠物で人気を博していた。
今ではあまり知られていないが、数多く書いた任侠物の短編の一つを映画化し、
有名になったものの中に「座頭市」がある。

「駿河遊侠傳」正・続 文藝春秋社
とにかく続き物なら必ず一度に全巻買わなければ気が済まない私が、珍しく正続を
違う古書店で買った。
古本の場合はこれもやむを得ない場合が多い。
文章の流れるような調子、間合いが本当に気持ちがいい。
傑作の一つ。

「八州鬼双六」講談社版 子母澤 寛全集18巻
確かこれは入院中に抜け出して近くの古書店に行った時に100円で投売りされているのを見、情けなく思いながら買い求めた。
内容は手持ちの子母澤作品の中ではそう評価できるものではない。
何というか長いのに中途半端という司馬作品でいうと「翔ぶがごとく」のような感じ。

「すっ飛び駕 春や深川」中央公論社版 子母澤 寛全集3
実は全集の中で一番欲しかったのがこの中央公論社版。
揃いで売っている店も見つけたが、全巻で14万超という破格値。
とても買えない。
この版はバラでもあまりなく、もう一冊しか持っていない。
江戸最末期の下層武士、町人、任侠の世界がよく描かれている。
言葉遣いを読むだけでも楽しい。
また、屋台などの食べ物を扱う描写も秀逸。
蕎麦屋台のくだりを読むと食べたくなって困る。

「花の雨 昼の月」中央公論社版 子母澤 寛全集5
幕末の今は忘れられてしまった歴史の周辺を飾った人達を描いている。
主人公は仮想ではあるが登場人物の殆どは実在で、また彰義隊の様子なども史実に基づいている。

「剣客物語」文春文庫版 
これは旅行先で何気なく入った古書店で買い求めたが、内容の濃さに驚いた。
歴史随筆ではあるが、おのおの長編小説が書けそうな素材揃いでこの作家の懐の深さに改めて感じ入った。

「江戸五人男」徳間文庫版
内容は悪くないのだが、どうも句読点が子母澤らしくなく、編集者が無断でつけたとしか思えない。
せっかくのリズムが台無しで読むのが苦痛になる。
また他の著作では一切見かけない!や?マークまで付いていて、見苦しい事この上ない。
これのお陰で徳間文庫版は買う気がしない。

「幕末奇談」文春文庫版
初期の頃の歴史随筆を纏めたもの。
筆致はまだ硬いが、やはり素材の豊富さを感じる。

「鴨川物語」大陸文庫版
主に維新前の京都を描いているが、珍しく女性が芯になっている。
聞き書きから始まった子母澤だが、維新当時花街にいた女性からも聞いていた事は多かったのだろう。

これでようやく2段目の後ろがすみました。



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